昔を懐かしむのは自由だが,昔に縛りつけられるのは勘弁だろ? 昔の男や昔の女にガタガタ云われるのなんて,うれしい人はひとりもいないんだよ。
quote:レコード店のマニフェスト・ディスク&テープ社は,近年のCD販売下降のなかでも昨年末まできちんと利益をあげていた。が,チェーン店をすべて閉じるという発表をし,音楽好きにショックを与えている。同社のオーナーは,会社の見通しは暗いと述べているが,タワーレコードの経営破綻のようにほかのレコード店も状況は同じだ。アマゾン・コムのようなオンライン店舗がRIAAの調査ではCD市場の3%を占めていると云うし,iTunes ミュージックストアなどのダウンロード販売市場はまだ小さいが,市場調査会社は5年後には音楽市場の1/3を占めると予想している。これは音楽業界にとっては悪いニュースじゃないが,レンガとモルタルのレコード店にとっては死亡宣告となる。
いままでレコードを売っていた店がCDを売るようになったときは,ただ棚の大きさを変えればいいだけだった。でもダウンロード販売への変更は,いままでのレコード店はもういらなくなる,ことになる。街中のどこからも音楽を売っている風景は消える。音楽を買うために,バスや電車に乗る必要は,もうない。それは,寂しい気分もちょっとあるけど,でも仕方のないことでしかない。レコードを置くための棚を,いま買い取るような人はいないんだから。
「消費者はCDを捨てる。関心があるのは,歌でしかないのだから」と記事にある市場調査会社の報告書には書かれていると云う。記事中にもあるが,これはほかのモノを売るお店も同じだ。米国の旅行代理店はウェブで航空券が買えるようになってしまったことなどで,過去3年間で30%が閉店したと云う。書店もそうなるし(すでになっているか),家電の店だって,衣服の店だって,食料品の店だって,すぐに嵐がやってくる。もう,数年も前からわかっていたことだ。_ネットワークがすべての流通となる_,例外はない。もしあなたが,なにかモノを売るお店に関係しているのなら,もう一度,将来のことを考え直すべきだ,あしたが来る前に。
|